Q&A(よくある質問)

Q緩和ケアとは何ですか?

Aがんなどの病気により、さまざまなつらい症状(痛み、体のだるさ、眠れない、不安)や社会的に困難な問題が起こることがあります。緩和ケアとは、そのようなつらい症状を和らげたり、問題点に対処したりすることで、患者さんとご家族がその方らしく生きていく手助けをしていくことです。

Q入院中、緩和ケアチームに診てもらいたいときはどうすればいいですか?

A当センターの緩和ケアチームは、主治医や看護師から依頼を受けてから診療を開始しております。緩和ケアチームのサポートを希望される方は、主治医・看護師にご相談ください。

Q緩和ケアチームのサポートを受けていますが、相談したいときはどうすればいいですか?

A緩和ケアチームに診てもらっている場合は、主治医・看護師に「緩和ケアチームの人と話がしたい」とお伝えください。主治医・看護師から連絡を受けて対応いたします。

Q緩和ケアチームの人にはどのようなことを相談できますか?

A痛みや吐き気、息苦しさなどの体のつらさへの対応、不安や不眠、気分の落ち込みなど気持ちのつらさへの対応、ご家族への対応、療養の場の相談などです。その他、緩和ケアに関する情報が知りたいとき、病気を抱えながら生きることについて話し合いたいとき、ご家族が患者さんにどのように接したらよいのか悩むときなど、主治医や関係部門と協力しながらサポートいたします。

Q抗がん剤の治療を受けながら、緩和ケアも受けることはできますか?

Aもちろんできます。緩和ケアはがんになったときから、必要だと思われた時からいつでも受けることができます。

Q緩和ケアチームに診てもらうと費用はかかりますか?

A緩和ケア診療加算として、入院の患者さんに緩和ケアチームが診療した場合は、緩和ケア診療加算として、診療報酬制度で定められた費用がかかります。3割負担であれば、1,200円(1日1回)程度です。

Q退院したあとも緩和ケアチームに診療してもらえますか?

A退院後も、必要に応じて、外来主治医と連携しながら対応させていただきます。
痛みの状態の把握や鎮痛薬の検討、精神的支援、療養場所の検討などについては、必要時、緩和ケアチームの看護師が受診日に合わせて対応することも可能です。外来で緩和ケアチームの診療を希望される場合は、主治医にご相談ください。

Q民間療法はしてもらえますか?

A緩和ケアチームの医師・看護師からすすめることはありませんが、ご本人が望んだ場合に、ご相談に応じます。ただし、医学的にみて明らかに体に良くないと思われるもの、他の患者さんのご迷惑になるものなどはお断りすることもあります。

Q「がんの痛み」とはどのようなものですか?

A「がんの痛み」には、がんの存在が原因となる痛みの他に、がんの治療による痛み、さらにはがんとは無関係な原因で発生する痛みもあります。痛みの多くは強く、持続的に続き、患者さんのQOL(生活の質)、治療にも大きく影響しますので積極的に和らげる必要があります。
がんのような慢性の痛みを我慢していると、痛みの感じ方が敏感になり、鎮痛剤が効きにくくなることがあります。また、脈拍や呼吸が速くなる、病気に対する抵抗力が落ちるなど、体にさまざまな影響が出ます。また、気持ちの面でも影響が出てきて、食用句が落ちたり、眠れなくなったり、気持ちがふさぎ込んできたりします。体と心の両面で、がんの治療の影響が出てきますので、痛みを我慢せず、少しでも楽になるようにしましょう。

Qがんの痛みをどのように伝えたらいいのですか?

Aまず「①いつから」「②どこが」「③どんなふうに」「④どんなときに」「⑤どれくらい痛いのか」について教えてください。
例えば「①3週間くらい前から」「②腰が」「③ズキズキと」「④寝返りを打った時に」「⑤目が覚めて、眠れなくなるぐらい痛いです」というような具合です。

Q痛みに対してモルヒネを使用するといわれました。中毒にならないでしょうか?

Aがんの痛みの治療には、モルヒネなどの医療用麻薬を使うことがあります。痛みのある人が痛みを和らげるために「医療用麻薬」を使用する場合は中毒になることはありません。昔のアヘンと同じと考えられがちですが、医療用麻薬を使用しても快楽を得ることはできません。麻薬中毒とは、薬がほしくてたまらなくなったり、極度の不安になったりする依存症状のことです。医療用麻薬を使ってもこのような症状になることは決してありません。
医療用麻薬は「痛みを和らげることを目的として医師の指示にしたがって使用すれば安全に使用できる薬」として法律にも定められているのです。

Q医療用麻薬を使用すのは、がんが進行しているからですか?

A痛みが強いということと症状が進行しているということは同じではありません。「医療用麻薬」は痛みの強さや質、薬の効き方によって使用するものです。

Qいったん医療用麻薬を使いだすと、やめられなくなるではありませんか?

A医療用麻薬を痛みの治療に使用している限り依存症状を引き起こすことはありません。痛みが弱まれば、医療用麻薬の量を減らしたり、やめたりすることができます。ただし、自分の判断で薬を急に中止すると、自律神経のバランスに影響を与える(発汗や動悸などの症状がでる)ことがありますので、薬を中止する際には必ず医師又はスタッフの指示にしたがってください。

Q医療用麻薬は使い続けると効かなくなることはありませんか?

A濫用目的に使用される違法な麻薬では、さらなる快楽の効果を得ようとして量を増やしていくようです。しかし、痛みの治療で医療用麻薬を使用する場合は、薬が効かなくなることはないと医学的に証明されています。ただし、症状の経過によって痛みが強くなった場合には、薬の量を増やすことは必要です。

Qモルヒネの副作用について教えてください。

A眠気、吐き気、便秘がモルヒネの主な副作用と言われていますが、あまり心配されることはありません。眠気については、飲み始めて2~3日間は気になることがありますが、自然に消滅することが多いです。吐き気については、吐き気が出ないように、あらかじめ吐き気止めのお薬を一緒に飲んでいただきます。飲み始めて1~2週間で自然に消失し、吐き気止めもいらなくなることが多いです。便秘については、一緒に下剤を使うことで調整することができます。

Qよく効く痛み止めなので、医療用麻薬を痛みで困っている人にあげてもいいですか?

A他の人に薬を譲ったり、患者さん本人以外の人が服用することは絶対にやめてください。病院で渡している薬は、その患者さんの体や痛みにあわせて、薬の種類や量を決めています。ご家族の腹痛や頭痛に使っても治りませんし、そのような使い方は危険です。もし、飲み忘れなどで薬が余ったときには次回の診察の際に医師に申し出てください。医療用麻薬を他人に譲ったり、患者さん本人以外の人が使うことは、法律でも固く禁じられています。

Qどうしたら心のケアを受けることができますか?

Aまず、ストレスや心配事に関して主治医や看護師に話してみましょう。主治医はあなたの状況を判断して、必要があれば院内の専門家に紹介します。また、カウンセリングの希望を直接主治医や看護師に伝えていただいても結構です。

Q睡眠薬や安定剤などを飲み始めると、薬がやめられなくなることがありませんか?

A医師の指示どおりの飲み方を守っていただければ問題ありません。睡眠導入剤やその他の薬は数十年前に比べると安全性が非常に高くなり、服用を止められなくなることもありません。また、抗うつ剤、抗不安薬には性格を変える作用はなく、落ち込んだ気分や不安・緊張感といった「症状」を和らげるのが主な作用です。気持ちの浮き沈みの程度を軽くし、本来のその人らしさに戻す働きをするとお考えください。

Q神戸医療センターに緩和ケア病棟はありますか?

A神戸医療センターには専門の緩和ケア病棟はありません。しかし、緩和ケアチームが存在し、各病棟で患者さんのがんによる様々な苦痛症状を和らげるお手伝いをしています。

Qがんで緩和ケアを勧められました。できるだけ自宅で過ごしたいのですが、在宅ケアは受けられますか?

A緩和医療を在宅、緩和ケア病棟のどちらで受けるかは、ご自身の進退の状態を考え、ご家族とよく相談してください。がん相談支援センターなどで、在宅支援診療所などの紹介を行っていますので、ご相談ください。

Q化学療法を始めてから、吐き気や嘔吐で食事がとれなくなり、とても心配です。

A吐き気・嘔吐は化学療法によりもっとも起こりやすく、苦痛な副作用のひとつです。このような症状に食事内容を完璧に対応させる事は難しいのですが、対策のポイントはあります。
少しずつ回数を増やして食べましょう。
皿に山盛りの料理を見ただけで、吐きそうになることもあります。無理せずに気分よく食べれる量を、ゆっくり食べましょう。少なくても「食べられた」という達成感と安心感の効果は大きいです。
好きな時に、手軽に食べられるものを用意しておきましょう。
食べられそうなときにすぐに口にできるものが良いです。小さいおにぎりやサンドイッチ、果物などは便利です。
嘔吐を繰り返すときには脱水に気をつけましょう。
大量の嘔吐によって、水分や電解質が失われますのでこまめに水分補給が必要です。スポーツ飲料やみそ汁、スープなどで補給しましょう。温かくてにおいの立つものは気持ち悪くなりやすいので、ヨーグルトや冷たいポタージュがお勧めです。シャーベットやゼリーが食べ始めるきっかけになったという声もあります。

Q食欲がでなくて、なかなか食べられません。体重が減ってきて心配なのですが、どのような食事をしたらいいのでしょうか?

A食欲不振の原因は様々であり、原因が明らかであればそれを改善することが大切ですが、次のポイントにも注意してみましょう。
気分の良い時に、食べられそうなものを食べてみましょう。
あまり「食事」という観念にとらわれずに、好みの食べ物を無理のない程度に食べてみましょう。食べられそうなタイミングを逃さないように、いつでも食べれる準備も必要です。食べやすい料理を小分けにして冷凍したり、果物などの買い置きなど工夫しましょう。また、自分にあった味付けや温度の食べ物を探してみましょう。よくある声は冷たいすっきりした味、酸味のあるさっぱり味、のど越しのよいものです。例えば、のり巻き、サンドイッチ、ヨーグルト、酢の物、アイスクリーム、梅干などがあります。めん類やパン、酢飯、カレーライスなどは、ご飯やお粥よりも比較的食べやすいようです。
蛋白質の豊富な食品を探しましょう。
食欲不振のときは、主食や果物、ジュースなど炭水化物の食品に偏りやすいので、蛋白質が不足しがちです。しかし、肉や魚は食べにくいことが多いため、食べやすい蛋白質食品としては、豆腐やチーズ、ヨーグルト、牛乳などがあります。市販の温泉卵や卵豆腐、茶碗蒸しもおすすめです。
栄養補助食品を利用する。
どうしても食べられるものが見当たらない、少量でなるべく多くの栄養を補いたいという場合には、市販の栄養補助食品の利用も有効です。

Qお腹が張って苦しく、なかなか食事が進みません。どうしたらよいですか?

A腹部膨張感は心理的な要因の場合もありますが、薬剤によって胃腸の働きが鈍くなることで起こることがあります。効率よく消化できなくなり、食べ物が残っているような感覚が残ります。
ガスを発生させやすい脂肪や食物繊維は控えましょう。
脂肪が多い肉、魚や料理は消化・吸収されないものが腸に残ってしまい、ガスを発生する事があります。また、ごぼうや芋、豆類などもガスを発生させやすく症状を強める場合があります。
消化の良いものや料理を少しずつ食べましょう。
炭水化物は胃での停滞時間が短く、エネルギーになるプロセスも早くお勧めです。ご飯やめん類、パンなどの穀類を主役にしましょう。調理法も煮る、蒸す、茹でるなどで軟らかくすると良いでしょう。食材もち小さめに切っておくと食べやすくなります。
ゆっくり、よく噛んで食べましょう。
急いで食べると医長の負担となり、たくさんの空気もいっしょに飲み込んでしまい膨満感を悪化させます。

Qがん終末期であり、なにか口から食べさせてあげたいのですがどうでしょうか?

Aがん終末期ではさまざまな症状が出現し、それらが関連しながら食欲がなくなっていくことは自然のなりゆきであり、食事の意味も「栄養療法」から「楽しみとしての食事」へとなっていきます。消化管に閉塞がある場合や、消化吸収できない病態では難しいですが、口から食べてもよい場合には食べる楽しみの部分を充実させる工夫として次のようなことがあります。
摂食機能や嗜好を考えましょう。
かんだり、飲み込んだりすることが難しくなっていたり、脱水症状で喉の渇きの強い場合には、冷たいものや水分の多いものが食べやすい食品となっています。シャーベットやスープ、ゼリーやミキサーした食事などがあります。喉越しのよさ、味付けのほか、盛り付けかたもポイントであり、少なめに彩りよく、季節感や食器に変化をつけることも大事にしましょう。
食べる環境を整えましょう。
温度、湿度、喚起、明るさ、リラックスできるよう音楽をかけるなどの調整をする。
施設の場合は食器をいつも家庭で使用していたものに変えるのも効果的です。
身体的な調整をしましょう。
口腔内を清潔に保ち、乾燥を防ぐことで味覚変化の度合いを減らします。痛みやその他の苦痛な症状、疲労により食事がとれないということが起こらないように、活動や薬剤の調整が必要です。医療者側とも相談しましょう。
食べられないことを肯定するかかわりをもちましょう。
食べられなかった場合「今度がんばりましょう」と応えるよりも「食べたくなったら、そのときに食べたいものを食べましょう」というかかわりをもちましょう。食べることを義務として捉えている患者さんの心理的負担を緩和させるには効果的です。