外科・消化器外科

特色

診療方針

  1. 診療においては消化器がんの外科治療をはじめとして、各疾患の診療ガイドラインに準拠することを原則としています。外科はとくに技術が第一ですが、ひとりひとりの患者さんごとに過不足のない技術を提供するとともに、親身になって術前術後のケアを行うことにより、高い満足度を得ることを診療理念とする。
  2. 治療法選択に際して、患者さんの理解と納得が得られるインフォームド・コンセントを行う。
  3. 他科とも十分な連携を取った上で手術前の全身状態の評価を行い、可及的にリスクを軽減させた上で手術に臨む。またコメディカルとの連携を取り周術期の管理をチーム医療体制で行う。
  4. 腹部救急疾患へ積極的に対応する。
  5. 消化器がんの臨床研究を推進し情報発信を行う。
  6. 地域医療機関との連携を大切にする。迅速かつ親切丁寧な診療情報提供を心がける。

取扱う主な症状・疾患

消化器がん
  • 食道がん
  • 胃がん
  • 大腸がん(結腸がん、直腸がん)
  • 肝がん(肝細胞がん、肝内胆管がん、転移性肝がん)
  • 膵がん
  • 胆道がん(胆管がん、十二指腸乳頭部がん、胆のうがん)
  • その他の消化管腫瘍(GISTなど),後腹膜腫瘍
良性疾患
  • 胆石症
  • 成人鼡径部ヘルニア
  • 腹壁瘢痕ヘルニア
  • 肛門疾患(痔核、痔瘻など)
腹部救急疾患
  • 消化管穿孔・腹膜炎
  • 腸閉塞
  • 急性虫垂炎
  • ヘルニア嵌頓
  • 大腸憩室炎など

専門外来・検査

専門外来

  • 初診・再診外来は月曜日〜金曜日まで毎日開設しています。
  • 外来化学療法は胃がん、大腸がん、肝胆膵がんを中心に術後補助化学療法のみならず再発・進行がんに対しても数多く実施しています。

 

検査

  • 主だった検査は消化器内科、放射線科で行います。
  • 術前検査は原則、通院で受けていただき、手術日の1-2日前に入院していただきます。
  • 術前治療が必要な患者さん、ご高齢の方では検査入院して頂く場合があります。
  • 治療方針

    消化器癌の外科治療

    • 当院は政策医療の一環としてがん治療推進を使命としており、兵庫県がん診療拠点病院に指定されています。消化器外科は食道・胃・大腸および肝臓・胆道・膵臓といった消化器がんの外科治療が診療の中心です。いずれも消化器内科、放射線診断科・治療科、病理診断科、看護科、リハビリテーション科、薬剤科、化学療法室と合同で協議を行うキャンサーボードを中心に、お互いの連携を密にして、ひとりひとりの患者さんにとって最善の治療を提供できるよう努力しています。
    • 消化器がんの手術では腹腔鏡手術が急増しています。大腸、胃のみならず、肝胆膵でも導入しています。日本内視鏡外科学会技術認定医、肝胆膵外科高度技能指導医、胆道学会指導医など経験豊富なスタッフが適応決定から周術期管理まで安全第一に診療にあたっています。
    • 地域柄、心臓や脳血管の病気、糖尿病など合併症をお持ちのご高齢の方が多くいらっしゃいますが、安全、安心に手術ができるよう総合病院の機能を活かし各診療科と連携を密に手術を遂行しています。

    消化器癌各領域の概要

    • 食道胃腸外科領域
      大腸がん(結腸・直腸がん)は原則腹腔鏡手術、胃癌に対しては一部リンパ節転移のない進行がんにも腹腔鏡手術を適応としています。食道がんの鏡視下手術(VATS) 、下部直腸がんに対する腹腔鏡下肛門括約筋間切除 (ISR)や経肛門的全直腸間膜切除術(TaTME)などの肛門を温存するための先進的手術も実施しています。高度進行下部直腸がんでは術前放射線化学療法を開始しました。
    • 肝胆膵外科領域
      肝がん、胆道がん(肝門部胆管・遠位胆管・胆嚢・十二指腸乳頭部)、膵がんを対象として肝切除、門脈合併切除・再建をともなう膵切除などの高難度手術を実施しています。腹腔鏡下肝・膵切除も適応を慎重に判断し安全第一のもと行っています。
      肝胆膵領域では術前検査や術前治療、術後合併症対策に胆膵内視鏡治療を得意とする消化器内科医、IVR (Interventional radiology)の技術に長けた放射線科医のサポートが必須で、お互いに協力し合い切磋琢磨しています。また2023年4月より院長として赴任した味木徹夫は前神戸大学肝胆膵外科学教授であり、専門性の高い肝胆膵疾患への対応も可能ですので、ご相談下さい。

    消化器癌の放射線化学療法

    • 手術のみでは予後不良である高度進行がんや、初診時にステージIVの診断で手術治療が困難と判断された症例に対しても、化学療法などによりがんが大きく縮小・消失した場合は、手術を化学療法に組み合わせる形で行っております。新しい抗がん剤の進歩や分子標的治療薬の導入により切除不能進行・再発がんの治療成績は徐々に改善しています。
    • 実際に、大腸がんでは切除不能進行,再発大腸がんに対し化学療法を行うことで平均約2-3年の延命効果が得られています。また、肛門近傍の直腸がんにおいては、腫瘍縮小を目的として、手術前に抗がん剤治療,放射線治療,放射線化学療法を行い、肛門温存に努めています。

    その他の一般外科診療

    • 胆石症、成人鼡径ヘルニアなどの良性疾患、腹部救急疾患(急性虫垂炎、消化管穿孔、腸閉塞など)の緊急手術にもあたっており、当科の診療範囲は多岐にわたっています。緊急手術でもほとんどの症例は腹腔鏡手術を行っています。
    • 急性胆嚢炎は麻酔科、手術室の協力により診療ガイドラインで推奨されている発症後可及的早期手術(腹腔鏡下胆嚢摘出術)を原則としています。早期手術は他の治療方針に比べ合併症も少ない傾向があり短期間で治るメリットがあります。
    • 成人鼡径ヘルニアは腹腔鏡下手術(TAPP)が標準ですが、肺機能低下、心疾患などで全身麻酔が危険とされる患者さんは、従来の腰麻、局麻下の前方アプローチ(Direct Kugel法)を行います。
    • 胆石症や虫垂炎に対する腹腔鏡手術では、症例に応じて単孔式手術(臍部だけの傷での手術)も施行しています。

    医科歯科連携(がん患者さんの周術期口腔機能管理)について

    • がん治療における副作用の予防、軽減のため周術期(手術前から手術後、退院後の一定期間)に口腔ケアを行うことが推奨されています(厚労省のがん対策推進基本計画による)。
    • がんの手術、抗がん剤治療を受けられる須磨区にお住まいの患者さんは、外科を受診された時点で須磨区歯科医師会と連携し歯医者さんへ病状や検査データを記載した紹介状(診療情報提供書)を送り、手術前検査と併行して口腔ケアを行っていただきます。
    • 垂水区など須磨区以外にお住まいの方は地元の歯医者さんに依頼します。かかりつけの歯科がない方はお近くの登録医(歯科医)をご紹介いたします。

    トピックス

      キッズ外科手術体験セミナーの開催

      須磨区内の小学校高学年生約20名を対象に「キッズ外科手術体験セミナー」を開催していますが、2019年は台風と重なり、2020〜2022年はコロナ禍のため開催出来ませんでした。
      当科以外に整形外科医ならびに初期研修医、看護部、事務部多くのスタッフの協力のもと、保護者も多数来院していただいて地域に病院を知ってもらう機会となるように本年度以降も開催を予定しています。

    教育方針

    文武両道を目指す。臨床力のある外科医、学会発表や論文執筆等の情報発 信力のある外科医を養成する。

    将来計画

    1. 地域連携を強化し、がん診療連携拠点病院として西神戸地区、北神戸地区において消化器がん診療の核となる。
    2. 消化器内科、放射線科、病理診断科、消化器外科を統合した消化器センター設立に向けて推進の核となる。
    3. 初期臨床研修医や医学生が外科医を目指し、当科を選ぶような活気と魅力にあふれる消化器外科となる。
    4. 日本内視鏡外科学会技術認定医取得者を継続して輩出する。後進指導できる消化器内視鏡外科医を育成する。
    5. 地域の肝胆膵外科の基幹施設となる。

    外科の初期臨床研修について

    外科初期臨床研修プログラムを表示する 外科症例レポート表紙をダウンロードする 「研修医日記」

    外来担当医表

    一診 辻村 敏明 上野 公彦 上野 公彦 味木 徹夫 辻村 敏明
    二診 武田 菜莉亜 平田 建郎 山内 沙耶 松下 周平
    三診
    四診
    備考

    担当医の紹介

    院長 味木 徹夫
    出身大学
    出身高校
    神戸大学 1988年卒業
    淳心学院高等学校
    学位
    専門・得意分野
    博士(医学)
    肝胆膵外科、特に胆道・膵臓疾患
    所属学会、役職
    専門医資格など
    日本外科学会(専門医、指導医)
    日本消化器外科学会(専門医、指導医、評議員)
    日本消化器病学会(専門医、指導医、評議員)
    日本消化器内視鏡学会(専門医、指導医)
    日本臨床外科学会(評議員)
    日本内視鏡外科学会(技術認定医、評議員)
    日本肝胆膵外科学会(高度技能指導医、評議員)
    日本腹部救急医学会(認定医、教育委、評議員)
    日本癌治療学会
    日本癌学会
    日本外科感染症学会
    日本胆道学会(認定指導医、評議員)
    日本膵臓学会(認定指導医)
    日本肝臓学会(専門医、指導医)
    日本膵・胆管合流異常研究会(世話人)
    日本医療マネジメント学会(兵庫支部世話人)
    日本医療・病院管理学会
    インフェクションコントロールドクター(ICD)
    趣味、特技 ゴルフ
    ひとこと 地域の外科疾患に真摯に対応していきます。胆膵疾患は是非ご紹介ください。

    外科系診療部長 上野 公彦
    出身大学
    出身高校
    滋賀医大 1992年卒業
    姫路西高校
    学位
    専門・得意分野
    2004年 博士(医学):神戸大学
    消化器外科
    所属学会、役職
    専門医資格など
    日本外科学会 専門医・指導医
    日本消化器外科学会 専門医・指導医
    日本消化器病学会 専門医
    消化器がん外科治療認定医
    日本胆道学会指導医
    日本医師会認定産業医
    日本肝胆膵外科学会評議員
    近畿外科学会評議員
    神戸大学医学部臨床教授
    緩和ケア研修会修了
    趣味、特技 スポーツすること、みること。ハンモックや芝生の上での昼寝。クラゲ鑑賞。
    ひとこと 地域医療のニーズに応えられるように尽力したいと思います。

    外科部長 辻村 敏明
    出身大学
    出身高校
    神戸大学 1993年卒業
    大阪星光学院高校
    学位
    専門・得意分野
    博士(医学)神戸大学 2001年取得
    消化器内視鏡外科、消化器外科
    所属学会、役職
    専門医資格など

    日本外科学会 外科認定医・専門医・指導医

    日本消化器外科学会 消化器外科専門医・指導医

    日本消化器病学会 消化器専門医・指導医

    日本がん治療認定医機構がん治療認定医

    消化器がん外科治療認定医

    ICD制度協議会インフェクションコントロールドクター

    趣味、特技 ゴルフ、バレーボール
    ひとこと 地域の患者様一人一人に、安心・安全、高度で優しい医療を提供できるよう心がけます。

    第二外科部長 平田 建郎
    出身大学
    出身高校
    島根大学 1996年卒業
    柏原高校
    学位
    専門・得意分野
    博士(医学)神戸大学 2005年取得
    消化器内視鏡外科、消化器外科
    所属学会、役職
    専門医資格など

    日本外科学会 外科専門医・指導医

    日本消化器外科学会 消化器外科専門医・指導医

    消化器がん外科治療認定医

    日本内視鏡外科学会 技術認定医(大腸)

    日本内視鏡外科学会 技術認定医(消化器・一般外科)

    日本胆道学会 指導医

    日本臨床腫瘍学会 暫定指導医

    日本外科感染症学会 外科周術期感染管理認定医・教育医

    ICD制度協議会インフェクションコントロールドクター

    日本静脈経腸栄養学会TNT研修会修了

    日本肝胆膵外科学会 評議員

    近畿外科学会 評議員

    趣味、特技 ドライブ、DVD鑑賞、愛犬と遊ぶこと
    ひとこと 患者さんと向き合いバランスの取れた納得できる医療を提供したいと思います。

    外科医師 山内沙耶
    出身大学
    出身高校
    ・・・
    ・・・
    学位
    専門・得意分野
    ・・・
    ・・・
    所属学会、役職
    ・・・
    ・・・
    趣味、特技 ・・・
    ひとこと ・・・

    外科専攻医 松下 周平
    出身大学
    出身高校
    神戸大学 2021年卒業
    西大和学園高校
    学位
    専門・得意分野
    ・・・
    ・・・
    所属学会、役職
    専門医資格など
    日本外科学会
    趣味、特技 ギター、草野球
    ひとこと 地域の皆様の健康のため、日々尽力させていただく所存です。

    外科専攻医 武田 茉莉亜
    出身大学
    出身高校
    愛媛大学
    昭和薬科大学附属高等学校
    学位
    専門・得意分野
    ・・・
    ・・・
    所属学会、役職
    専門医資格など
    日本外科学会
    趣味、特技 映画、温泉
    ひとこと 地域の医療に貢献できるよう尽力いたします

    診療実績

    2019年4月1日~2022年3月31日

    外科・消化器外科主要手術件数
     ( )は別途記載をのぞき鏡視下手術件数を示す
    疾患・臓器 2020
    2021
    2022
    食道 食道がん切除
    (鏡視下VATS)
    0 0 0
    食道良性
    (胃食道逆流症など)
    0 0 0
    胃がん 38(23) 38(23) 37(22)
    胃全摘 11(4) 10(5) 10(1)
    幽門側胃切除 18(16) 27(17) 26(20)
    その他 9(3) 1(1) 1(1)
    胃腫瘍
    (GIST等)
    胃切除 2(2) 2(2) 2(2)
    上部穿孔 大網充填等 3 2 0
    その他   2 3 1(1)
    大腸 大腸がん 71(64) 72(63) 72(71)
    結腸がん 50(43) 50(44) 53(52)
    直腸がん 21(21) 22(19) 19(19)
    前方切除 21(21) 16(16) 14(14)
    腹会陰式直腸切断 0 0 0
    TaTME

    4(4)

    5(5) 5(5)
    ハルトマン手術・
    人工肛門造設術その他
    7 12 11(7)
    下部消化管穿孔 14 13 14(1)
    その他 11 7 6(3)
    小腸 小腸 18(0) 2 1
    小腸腫瘍 0 0

    1

    その他 18 2 0
    肝がん
    (原発性・転移性)
    8(5) 25(8) 9(7)
      葉切除以上 1 4 0
    区域/亜区域切除 1 10(1) 3(1)
    部分切除 6(5) 9(5) 6(1)
    ラジオ波焼灼 0 0 0
    その他肝疾患 肝嚢胞開窓術 0 2(2) 0
    胆道がん・膵がん・膵炎等 17 15 17
      膵頭十二指腸切除 12 6 6
    膵体尾部切除 3(1) 2 3
    膵全摘 0 1 4
    胆嚢癌手術(拡大胆摘等) 2 0 2
    バイパス手術等(膵がん) 0 4 1
    膵炎等 0 0 0
    脾臓 0 1(1) 0
    その他 0 1 1

    胆道良性疾患

      (胆石,ポリープ等) 
    胆嚢摘出術 84(81) 73(71) 96(95)
    総胆管切石術 1 0 0
    腸閉塞 解除術(癒着剥離、腸切除) 14(3) 14(1) 18(2)
    虫垂炎 虫垂切除 38(38) 33(32) 30(30)
    腹壁・腹膜 鼠径部ヘルニア修復術 91(81) 91(82) 143(135)
    腹壁ヘルニア修復術 7(6) 16(13) 5(5)
    その他 13 23 20
    全身麻酔手術総数 431 441 482
    全麻以外手術総数 8 5 17
    全手術総数
    (§うち緊急)
    439(64§) 446(61§) 497(77§)

    業績

    1.論文、著書

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    2.学会等発表

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