腹水治療センター

概要

当院では、がん性腹水で困っておられる患者さんの治療目的で、2018年度よりKM-CART(ケー・エム・カート、改良型腹水濾過濃縮再静注システム)を導入しました。
消化器癌や婦人科癌領域などでは大量のがん性腹水が出現すると、生活の質(QOL)や日常生活動作(ADL)の低下を招きます。多くの腹水は滲出性であり、利尿剤が効きにくく全身状態が悪化すればがん治療は中止となり、緩和ケアへの移行を勧められます。しかし大量のがん性腹水に伴う苦痛は、医療用麻薬などの薬物療法での緩和が難しいのが現状です。また腹水を体外に排出(ドレナージ)することは一時的効果のみで,繰り返すことで体力を奪い栄養状態が悪化します。がん性腹水中には体に大切な栄養分(アルブミンなど)と免疫力に必要な免疫グロブリンなどが多量に含まれており、これらの成分を体外に排出して捨てるのではなく体に戻すことができれば、免疫力を高めるとともにがん治療の継続が可能となります。従来の腹水濾過濃縮再静注法(CART)では、多量のがん性腹水は処理できず、がん治療には用いられなくなっていました。
要町病院の松﨑圭祐先生が開発されたKM-CARTは従来のCARTの欠点を補い、大量のがん性腹水を安全で迅速に処理し体内に戻すことができる画期的な治療法です(詳細は、松﨑先生のWeb site: http://www.kanamecho-hp.jp/clinic_daini/fukusui/kmcart.html」、著書「がんと腹水治療 末期がん・肝硬変 先端医療の現場」(星の環会)を参照ください)。KM-CARTで、多くのがん患者さんががん治療を継続でき,また腹痛で苦しめられることなく緩和治療を受けることができるようになりました。当院では松﨑先生の指導・認定を受けた医師と臨床工学士により2018年度より松﨑先生の許可を得て、KM-CARTを導入しました。もしKM-CART治療をご希望される患者さんがおられましたら、かかりつけの医師と相談いただき当院の病診連携室にご紹介いただくか、以下のEメールアドレス宛にご連絡いただければ治療について相談させていただきます。

担当医師

内科系診療部長 清水 一也 
メールアドレス:shimizu.kazuya.yb☆mail.hosp.go.jp
(@を☆に変更しています)

2018年度実績

新規患者数:19人(うちがん患者14人、肝硬変患者5人)

KM-CART治療数:38回(うちがん性腹水:29回、肝性腹水:9回)