腹水治療センター

概要

当院腹水治療センターでは、腹水で困っておられる患者様の治療目的で、腹水濾過濃縮再静注術(KM-CART:ケーエム・カート)を積極的に行なっています。 消化器癌や婦人科癌領域などではがん性腹水が貯留してくると、生活の質(QOL)や日常生活動作(ADL)の低下を招きます。多くの腹水は滲出性であり、利尿剤が効きにくく、全身状態が悪化すればがん治療は中止となり、緩和ケアへの移行を勧められます。しかし、がん性腹水に伴う苦痛は、医療用麻薬などの薬物療法での緩和が難しいのが現状です。また、腹水を体外に排出(ドレナージ)することは一時的効果のみで,繰り返すと体力を奪い栄養状態が悪化します。がん性腹水中には体に大切な栄養分(アルブミンなど)と免疫力に必要な免疫グロブリンなどが多量に含まれており、これらの成分を体外に排出して捨てずに体に戻すことができれば、免疫力を高めるとともにがん治療の継続が可能となります。KM-CARTで、多くのがん患者様ががん治療を継続でき,また腹痛で苦しめられることなく緩和治療を受けることができるようになりました。 当院では、要町病院の松﨑先生の指導・認定を受けた医師と臨床工学士がKM-CARTを導入しています。
(詳細は、松﨑先生のWeb site: http://www.kanamecho-hp.jp/clinic_daini/fukusui/kmcart.html」、著書「がんと腹水治療 末期がん・肝硬変 先端医療の現場」(星の環会)を参照ください)。当院でのKM-CARTをご希望されましたら、主治医にご相談いただき、当院地域連携室で腹水治療センター外来予約をお取りください。

担当医師

内科系診療部長 清水 一也 
メールアドレス:shimizu.kazuya.yb☆mail.hosp.go.jp
(@を☆に変更しています)

2023年度実績

患者数:33名(うち新規患者数:29名)

KM-CART実施回数:80回

疾患別KM-CART回数
膵臓癌 16回 大腸癌 7回
肝硬変 16回 胃癌 5回
肝臓癌 14回 子宮癌 4回
卵巣癌 9回 硬化性胆管炎 1回
腹膜癌 8回
年度別新規患者数とKM-CART実施回数
年度 新規患者数 KM-CART実施回数
2023年度 29名 80回
2022年度 22名 53回
2021年度 24名 56回
2020年度 19名 69回
2019年度 18名 56回
2018年度 19名 38回
合計 131名 352回