臨床検査科


安心な検査と正確・迅速な結果を診断・治療につなげる!

当院の臨床検査科は生理機能検査、検体検査の徹底した精度管理により、正確、迅速、安定した結果報告に努めております。

臨床検査科

スタッフ紹介

臨床検査部長 藤田 昌幸 日本病理学会認定 病理専門医
副臨床検査部長 粱川 裕司
(小児救急部長)

 

生理機能検査

当院には超音波検査の複数領域の認定資格を有する臨床検査技師が在籍しており、診断・治療の手助けとなる質の高い検査結果を迅速に報告できるよう努めています。また、安心して検査を受けていただけるよう、乳腺超音波検査は、超音波検査士資格を有する女性技師が担当しています。

≪実施検査≫

随時検査 心電図検査 安静時心電図検査、マスター負荷心電図検査
呼吸機能検査 VC、FVC、FRC、DLCO、CV、呼気中一酸化窒素濃度測定
血圧脈波検査 ABI/CAVI
聴力検査  耳鼻科にて標準純音聴力検査・標準語音聴力検査
予約検査 超音波検査 心臓、頸動脈、腎動脈、四肢動静脈、腹部、乳腺、甲状腺、表在など
心電図検査 ホルター心電図検査
血圧測定 24時間自由行動下血圧測定
睡眠時無呼吸検査 簡易型PSG
脳波検査
誘発筋電図検査 運動・感覚神経伝導速度
新生児ABR検査

VC:肺活量, FCV:努力性肺活量, FRC:機能的残気量, DLCO:肺拡散能
CV:クロージングボリューム(末梢気道閉塞度)、PSG:終夜睡眠ポリグラフィー,ABR:脳幹反応聴力検査


生理検査を受けられる方へ ➡  生理検査を受けられる方へ



心電図検査
図1:心電図検査


マスター負荷心電図検査
図2:マスター負荷心電図検査
(階段昇降による運動負荷)


呼吸機能検査
図3:呼吸機能検査


血圧脈波検査
図4:血圧脈波検査


超音波検査(心エコー)
図5:超音波検査(心エコー)


 

生化学・免疫検査

生化学検査は肝機能、腎機能、代謝物、脂質、電解質、糖関連項目などを中心に、免疫検査は腫瘍マーカー、感染症、ホルモン関連等の検査を行っています。
これらは全自動分析装置を用い、採血の患者さんへの負担を軽減し、少量の検体で多項目検査を同時測定しています。



Cobas-8000 Cobas-8000
生化学自動分析装置です。肝機能や腎機能を反映する酵素の検査や、脂質や糖関連の代謝産物、免疫グロブリンなどの一部の免疫項目など、数多くの項目がこの装置で測定されます。

HISCLE-5000 HISCLE-5000
免疫自動分析装置です。主に腫瘍マーカーや甲状腺に関する項目、SARS-CoV-2の抗原検査もこの装置で行っています。抗原検査は装置を利用することで、簡易キットよりも感度よく、より正確に測定を行えます。

ARCHITECTi2000SR ARCHITECTi2000SR
免疫自動分析装置です。B型肝炎やC型肝炎をはじめとする、様々な感染症検査を行います。 感染症検査は自動分析装置で定量的に測定することで、より感度よく、正確に測定を行えます。

ADAMS A1c、ADAMS Glucose 左:ADAMS A1c(HA-8190V)
右:ADAMS Glucose(GA-1172)
左がHbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)、右が血糖値を測定する装置です。HbA1cは糖尿病の検査において病態把握やお薬の量の調整にも関わる大切な項目です。

RapidPoint 500 RapidPoint 500
血液ガス自動分析装置です。体内の酸素や二酸化炭素をはじめとしたガスの値を測定する装置です。迅速に結果が出ることが特徴で測定時間は1分半ほどです。この迅速性を活かして救急外来の患者様などの呼吸状態を素早く知ることができます。

病態検査スタッフ
患者様から採取された検体のうち、生化学・免疫・血液・凝固・輸血の分野は私たち病態検査スタッフが検査しています。直接患者様に関わることは少ないですが、採取された検体をしっかり測定し、臨床へデータをお返ししています。

 

血液・凝固検査

血液検査は全自動血球計数装置を用いて迅速に血液中の赤血球数、ヘモグロビン濃度、白血球数、血小板数の算定および白血球分類を行い、必要に応じて鏡検を行います。さらに血液疾患の診断、悪性リンパ腫などの浸潤の判定等に必要な骨髄検査も実施しています。凝固検査は出血リスクの有無や抗凝固薬のモニタリングに用いられます。



DxH 800とDxH SMS

顕微鏡
DxH 800とDxH SMS
写真手前2台のDxH 800は全自動血球計数装置です。全自動分析装置を用いることで、血球のカウントや分類を迅速に行うことができます。また、機械では判定できない様な血液に関しては、写真奥のDxH SMS(スライドメーカー)を用いて標本を作製し、技師が顕微鏡による目視を行います。

ACL TOP 500 ACL TOP 500
凝固自動分析装置です。凝固検査は止血リスクの有無や、ワーファリンなどの抗凝固薬のモニタリング(お薬の量の確認)をおこなっています。その他にも、深部静脈血栓症(エコノミー症候群)などの検査で、血中に血液の塊(血栓)ができていないかを調べる項目なども測定しています。

 

輸血検査

輸血検査室は令和4年4月、日本輸血・細胞治療学会・輸血機能評価認定制度(I&A制度)の認定を更新し、24時間、臨床検査技師が輸血関連検査(血液型・不規則抗体スクリーニング・交差適合試験)および血液製剤の供給を行っています。輸血関連検査は全自動輸血検査装置および輸血検査システムを導入し、迅速、安全な輸血療法体制となっています。また、不規則抗体陽性患者さんが他院で輸血を行う際にも抗体情報がわかる血液型カードをお渡し、安心して輸血治療を行えるよう努めています。


輸血関連検査 <輸血関連検査>
安全な輸血療法のため、生命に直結する輸血関連検査はヒューマンエラー防止が重要であり、当院では医療安全上、全自動輸血検査システムを導入しています。
適合血の選定においては自動分析装置で判定できない様な不規則抗体の同定など、技師の用手法による精査を行うことがあります。細かい血液の凝集や溶血反応を頼りに、患者様に安全な輸血が実施されるよう検査を行っています。

全自動輸血検査システム Ortho VISION 全自動輸血検査システム
Ortho VISION

 

一般検査

尿定性・尿沈渣をはじめ、免疫便潜血定性検査、関節液検査、髄液検査、精液検査、妊娠定性検査を行っています。免疫便潜血定性検査は、下部消化管疾患のスクリーニング検査として用いています。
尿検査は全自動尿分析装置を用いて、診療前検査の迅速報告を行っています。赤血球、白血球、上皮、円柱などの臨床的意義の可能性が高い細胞成分等が認められる場合には、臨床検査技師が尿沈渣を顕微鏡で観察し、ガイドラインに基づき、鑑別しています。

 

微生物検査

微生物検査室は感染症を起こしている原因微生物を見つけだし、治療に有効な薬を調べる検査を行っています。
検査の対象は患者さまから採取された喀痰、尿、便や体液など様々です。それらの検体を顕微鏡で観察し、培養します。培養検査以外にも遺伝子検査や抗原迅速診断キット等を使い、細菌、ウイルス、真菌、原虫などを特定します。
また、院内感染対策防止のため、感染制御チーム(ICT)、抗菌薬適正使用支援チーム(AST)と連携し、MRSAをはじめとする薬剤耐性菌の検出情報などを迅速に報告し、院内に感染が広がることがないよう、チームの一員として感染対策に関わっています。
更に神戸市感染症発生動向調査事業においては、検査室定点病院として参加し地域の感染症に係る対策にも努めて います。


培養検査 〈培養検査〉
検体を塗った培地を孵卵器で培養すると見えなかった細菌が増えて目に見える塊(コロニー)になります。コロニーから細菌を特定し抗菌薬が効くかを調べます。

培地培地 〈培地〉
患者様より採取された検体から感染の原因となる細菌を見つける出すためのの培養検査に使います。
含まれる成分の違いにより何種類もの培地があり検体の種類や検出目的とする細菌によって使い分けをします。

 

病理検査

病理検査とは、採取された臓器を顕微鏡で観察することで病気の診断を行うことです。病理診断とも言います。
主に、病理組織検査、細胞診検査、術中迅速検査、病理解剖を行っています。

・病理組織検査

内視鏡検査等で採取された生検材料や、手術で摘出された臓器を中心に診断します。

・細胞診検査

尿や喀痰、胸水、乳腺穿刺など様々な部位に存在する細胞から病気の診断および診断の補助をします。

・術中迅速検査

手術中に採取された組織の一部を速やかに検査することにより、がん細胞の有無や病気の進行具合を診断します。結果次第では術式を変更することもあります。

・病理解剖

亡くなられた患者様の解剖を行い、死因や治療効果、生前診断に間違いはなかったか、解剖することでしか発見できない病変などを見つけます。

いずれの検査も異型細胞やがん細胞を顕微鏡で見つけ診断することが、主たる検査となります。

当院は日本病理学会、日本臨床細胞学会認定施設で、病理専門医(臨床検査科部長)1名が常駐しています。
婦人科細胞診検査は液状細胞診(LBC)を用いて診断率向上を図り、超音波内視鏡下穿刺吸引法(EUS-FNA)検査では迅速ベッドサイド細胞診(ROSE)を導入し、検体採取不良による偽陰性を未然に防ぐことで、迅速かつ正確な診断に努めています。乳腺穿刺吸引細胞診検査は、乳腺外科医の指導の下、超音波検査士と細胞検査士が連携して取り組んでいます。
がん治療においては適切な抗がん剤治療を適切な患者さんへ提供するための役割も担っています。


パラフィン包埋ブロック作製装置 〈パラフィン包埋ブロック作製装置〉
組織検査で使用する機器です。
生検や手術で得られた組織は様々な処理を経て、この機器でパラフィンという薬品で固められます。

ミクロトーム 〈ミクロトーム〉
組織検査で使用する機器です。
パラフィンで固めた組織を、この機器で3μm程の厚さに切ります。切った組織はスライドガラスに載せます。

染色封入機 〈染色封入機〉
組織検査・細胞診検査で使用する機器です。
スライドガラスに載せた組織を顕微鏡で観察できるようにするため、この機器で染色・封入します。また、細胞診検査用の染色も行います。

クリオスタット 〈クリオスタット〉
術中迅速検査に使用する機器です。
凍結した組織を5μm程の厚さに切ります。組織検査と同じようにスライドガラスに載せますが、急いでいるため染色・封入は手作業です。

 

認定資格者

2023年4月現在

資格名 取得者数
細胞検査士(国際) 2(1)
認定病理検査技師 1
超音波検査士(消化器) 4
超音波検査士(循環器) 4
超音波検査士(体表) 2
超音波検査士(血管) 1
認定輸血検査技師 1
認定血管診療技師 1
緊急臨床検査士 3
2級臨床検査士(病理学) 3
2級臨床検査士(循環生理学) 1
認定一般検査技師 1

 

検査値の見方

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検査結果
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